

1、日時
2、参加者
3、企業訪問の経緯・目的
4、会議内容
5、参加者感想
1、日時 平成20年6月17日
2、参加者
・J-POWER側
阿部達也氏(経営企画部)
河田暢亮氏(技術開発センター茅ヶ崎研究所)
綱川浩太氏(環境エネルギー事業部)
中村滋氏(国際事業部)
・日本ベトナム学生会議側
有住勇一郎(早稲田大学3年)
大隅祐輝(中央大学3年)
貝瀬史明(中央大学3年)
宮島あかね(明治大学1年)
(大隅祐輝は第一期のメンバーであり、ベトナム訪問経験者として今回の訪問に協力)
3、企業訪問の経緯・目的
阿部様のご厚意により、以前ベトナムで事業展開をなさっていたJ-POWER社員の皆様と
ベトナムについての議論や今後のベトナム及び東アジアでどのような事業展開をなさっていくのかをお伺いする機会をいただいた。
当団体としては、今後のベトナム訪問に際しての知識の拡充、及びエネルギー問題に対する時事知識を分科会・環境班で活かしていくことを目的とする。
4、会議内容

貝瀬)アフリカ会議があったように、今後の日本のODA支援先が変化していくことが予想されます。
今後ベトナムへのODAもその影響を受け変化していくのでしょうか?
中村氏)当社はODAの実施機関ではないので、確定的なことは言えませんが、基本的にはアジア重視のODA支援は変わらないと思います。またベトナムはODA支援の重点国なのでこれからも支援し続けるでしょう。アフリカは段階的にODAの比重を増やしていくでしょうけれど、全体のシェアとしてはまだまだ少ないといったところでしょう。
河田氏)、ベトナムはとても発展してきており、魅力的な市場だと思います。またインフラも昔と比べずいぶん整ってきています。これからはODAに関わらず、日本の一般企業が今以上に進出していくでしょう。
中村氏)これからはODAの手法も変化していくでしょう。今までは社会資本中心でしたが、民間の経済活動支援へとシフトするのではないかと思います。
綱川氏)当社でもベトナムの電力庁から資金でコンサルティングのサービスを請け負っています。アフリカのODA拡大は債務超過の棒引きがほとんどで、一大プロジェクトを行うためにODAを拡大するといったことではないようです。
宮島)分科会で環境について調べています。とくにベトナムの法整備を中心に研究しています。水質、大気に関する法整備は調べる限りでは充実していると思う一方で、産業排出や一般排出から汚染が進んでいるという文献も見ました。
実情はどのようになっているのでしょうか?
中村氏)法整備は思った以上に整っていると思います。しかし環境の実情においては、意識の問題が大きいと思います。個人差はありますが、まだまだ環境に対する意識が低いと思います。

綱川氏)その通りですね。環境意識は低いです。しかし昔は日本も同じでした。分別もしないで、ゴミは捨てていました。
そのような過程を経て、日本は現在の文明を享受しているのに、ベトナムに対して「環境意識が低い」というのは押し付けになってしまいますよね。ベトナムの現状としては、環境対策の余裕がないといったところです。
河田氏)経済成長と環境対策は両立できるのですが、ある意味相対する物事だと思います。環境対策はコストがかかりますので、現在、経済成長している国は環境対策に目を向けにくいでしょう。
先進国は社会からの要求もあり環境対策を進めていますが、中国やベトナムのような国はまだまだ経済発展を重要視しています。
阿部氏)弊社の場合はリーディングカンパニーとして、エネルギーが原因となる温暖化のような地球環境と地域環境の2つに分けて考えています。
皆さんがベトナムを訪れると川の汚染等が目につくでしょう。しかし現在の一番の環境問題は温暖化に代表されるような地球環境です。
学生のみなさんには地球環境と地域環境を混同しないようにしていただきたいです。
有住)ベトナムのインフラ状況は東南アジアの中でどの程度のレベルにありますか。
中村氏)交通インフラに関してはタイなどの周辺国に対してまだ整備が追い付いていないと思います。
インフラにおいて、ベトナム周辺の国々は3つのランクに大別できると思います。シンガポールは別格ですが、上位はタイ、マレーシア、中位はベトナム、下位にラオス、カンボジアです。このランクを考えてもベトナムは「これからの国」と言えそうです。
宮島)一般的にはベトナムの識字率は高いという認識があります。しかし、ベトナムに留学したことのある私たちの団体メンバーに聞いたところ、農村部では識字率は低く、教育環境は整っていないと申していました。
実情として、ベトナムの教育はどのようになっているのでしょうか。
中村氏)教育に行くという環境は社会主義の観点から充実していると思います。
綱川氏)ホーチミンでは学校は朝・夕の二部制になっていました。日本と違ってベトナムは子どもの数が多く、二部制にしないと教育を均等に供給できないようです。
またベトナムの親は教育熱心なように思います。親がバイクで学校に送り迎えをしたりしていて、その時間帯は大渋滞になります。
また最近は塾に通う学生も多く、韓国のような競争社会の一面が見えます。
河田氏)これはベトナムだけに限らないのですが、アジア全体で英語がしゃべれる人が増えています。この状況は海外の市場に対応でき、海外の資本が国内に入ってきても対応できるということを意味しています。
日本は英語を中学から学習していますが、英語でコミュニケーションをとるのが苦手だと思います。そのうち経済的にベトナムなどに抜かれる可能性が十分あります。インドなどは英語に加え、数学が高い水準を誇っていますから。
綱川氏)国語教育においても日本と違いがあります。日本の場合はある物語を読んだ場合、道徳的、心情的な問題を扱いたがります。しかし、ベトナムでは読み書きをとても重視しています。
貝瀬)J-Power様は電力関係の企業ですのでお伺いしたいのですが、電力に関して、これからのベトナムにはどのようなことを期待されていますか?またこれからどのような事業を展開したいとお考えですか?
綱川氏)私が仕事をしている風力開発でお話しすると、東南アジアでは風力発電に適する場所が少ないのですが、ベトナム中部は風向が安定しておりよい投資環境あります。
しかし、風力によって発電された電力を優先的に買い取るような法整備が充実しておらず、まだ問題は残っています。この問題が解決すれば風車を建設するならベトナムだと考えています。
補足ですが、風力発電は国によって状況が違うようです。日本などでは風力発電の建設の際に景観や自然環境が問題となってしまうことがあります。
一方でヨーロッパでは風力発電を商売ととらえられています。例えば、農場を持った農家の方が8000万円ほどの借金をして風車を自分の農場に建てることがあります。ヨーロッパでは風力発電の電力を優先的に買い取る優遇措置があり、数年で借金を返済し、収入を得ることができるのです。
中村氏)弊社の得意分野は石炭火力発電と水力発電です。ベトナムは北部に石炭火力発電が増えつつあるのですが、効率の悪い発電が多くあります。効率のよい発電を支援できたらと思っています。
河田氏)中村が申しましたように、支援面でお話させていただくとベトナムの大学、研究所と連携して共同研究等を行えたらと考えています。弊社はベトナムに技術を提供し、ベトナム側からは情報を提供していただきともに開発できる道を探れたらと思っています。
大隅)一般的に労働面においてベトナム人は勤勉で優秀であるといわれていますが、実際はどのような印象を受けましたか。
綱川氏)労働については、個人差はあるでしょうが、とても手先が器用だと思います。細かい作業の処理はすばらしいです。
中村氏)そうですね。個人差はありますが、現実主義の人が多いのかなという印象はありました。
阿部氏)将来エリートとなる人には勤勉な方が多いのかもしれません。
ベトナムはこれから原子力エネルギー開発に力を注いでいくと考えられており、弊社はその点においても協力していきたいと思っています。
ところでみなさん、日本の食料自給率は何%か知っていますか。約40%です。
ではエネルギー自給率は何%か知っていますか。おそらくみなさん知らないのではないかと思いますが、実は4%(原子力発電を除く)です。これほど危機的状況はありません。日本の人々はそのようなことを知らずに電気がつくと思っています。このことを一人でも多くの人に考えてほしいと思い、弊社では「エネルギー環境協力支援」という活動を行っています。
これから環境等の学習を進めていく際はぜひ知っておいてください。
綱川氏)去年の分科会でODA班や環境班といった問題を取り上げていますが、ベトナム戦争のような学生間でしか議論できない事項は取り上げないのですか。
貝瀬)去年ベトナムに行ったメンバーから聞くところによると、過去にとらわれないといった意識が大きいようです。
当団体としては今年、ベトナム戦争資料館に行きたいと考えています。
宮島)これからベトナムと交流していく上で歴史学習は重要であるとお考えですか。
綱川氏)とても大事だと思います。戦争中、日本軍はベトナムに進駐し多くの餓死者をだしたり、私欲をつくしていた事実があります。
実際、私が経験したことですけれど、歯医者さんで順番待ちをしていると「日本人は受け付けない」といわれたことがありました。
もしかしたら過去に日本がベトナムに対して行った行為が引き金かもしれません。
ベトナムの人がすべて親日家とは限りません。
歴史を知ることは重要です。
阿部氏)是非学生にしかできない交流をしてください。ベトナムから帰国してみなさんが成長してくれれば幸いです。みなさんの活躍に期待していますよ。
貝瀬、宮島、有住、大隅)本日はどうもありがとうございました。
5、参加者感想
有住勇一郎(早稲田大学3年)
実際にベトナムにいって仕事していた方達の話を聞くことができ大変光栄でした。その話は教育、ODA、環境、エネルギーなど幅広く、どの話も非常に興味深い話ばかりでした。
その中でもエネルギーの話は衝撃を受けました。日本のエネルギー自給率は原子力を入れても20%程度しかないらしく、こんなに不安定な先進国はないとおっしゃっていました。今は、その現状を解消すべく色々なエネルギーを開発しているとのことでした。
また発電所の話も興味深いと感じられました。アジアは風力発電に向く風が起きにくいのですが、ベトナムは風力発電に効率の良い風が吹くとのことでした。
現在、その風力利用を考えているとのことだったのですが、現地であるベトナムの法整備等が整っていないために投資が難しいとのことでした。
また、環境問題については、一般的には地球温暖化などがあげられるが、そのような地球規模の問題だけでなく、地域の環境問題も存在していて、二方向から環境を見る視点も持つべきだとおっしゃっていました。このような視点をさっそく分科会等で生かしていきたいと思います。
企業訪問の経験は初めてだったので緊張しましたが、とてもいい経験になりました。もしまたこのような機会に恵まれたら今回の経験を活かして積極的な意見交換をしていきたいと思います。
最後になりましたが、今回のような機会をいただいた株式会社J-POWER各関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
貝瀬史明(中央大学3年)
まずこのような機会を与えて下さいました、株式会社J-POWERの阿部様をはじめ、会議に参加いただきましたJ-POWER社員の皆様に御礼申し上げます。
今夏私たちが訪れるベトナムの実情をうかがい知ることができ大変勉強になりました。河田様がおっしゃっていたように日本の技術とベトナムにある資源と有能な人材を組み合わせることで日本とベトナムの友好的なパートナーシップを築けるというのは、ベトナムの経済はこれから魅力的であると実感できました。
その一方で、アジアの中で英語習得率の低さを原因として、グローバル化する世界のなかで通用する人材を輩出できるか不安視されています。また阿部様のお話の中にあったように、資源の少ない我が国はエネルギー自給率が20%程度という現実をしり、いかに危機的な国であるかを身にしみて感じました。
今、使用している電力はどこから供給されているのか、我々が食している物はどこから輸入されてきた物なのかを私たちは行く考えもせずに使用したり、口にしたりしています。ベトナムという国を知ろうとする中で自国についてもさらに理解を深める必要があると感じましたし、自国を知らずして他国を知ることはできないと思いました。
またベトナムの文化や風土についても興味深い話をいただくことができました。ベトナムの学校は朝と夕の二部制になっていることや、風力発電に向いた風が吹く地域が多いことはベトナムに対する興味をさらに湧き立たせてくれました。
今回の訪問で学んだ知識をベトナムの会議で活かしていきたいと思っています。ありがとうございました。
宮島あかね(明治大学1年)
今回、j-power様を訪問させていただいて、学術的な側面からのお話や、現地の状況、ベトナム人との交流エピソードなど様々なお話を伺うことができました。
その中で、私が一番興味を持ったのは「ベトナム人」に関するお話です。ベトナム人像、ベトナム人労働者、ベトナム人の日本に対する感情、他国と比べたベトナム人など、たくさんの民族があるにせよ、ベトナムには「ベトナム人」が住んでいるのだから、ベトナムの方についてのエピソードがたくさんあることは当たり前なのですが、実際に行って、現地の方との関わらないとわからない、すごく大切なところだと思います。
そんなお話を、身近な体験談を交えて伺うことができ、実感がわき、すごくためになりました。
私はベトナムに行ったこともないですし、東南アジアの国にいった経験もありません。だから、ベトナムについての勉強をしていても、自分のなかに実体を作ることができず、なんとなく掴みどころがありませんでした。しかし、今回の訪問を通して、私の中でベトナムは、少し身近な国になり、また、今後の活動の羅針盤となるようなたくさんの知識を得ることができました。
最後になりましたが、当団体にこのような機会を与えてくださいました阿部様をはじめ関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。